たかが重心、
されど重心で苦節50年。
ゴルフクラブの設計に取り掛かる中、最も重要なテーマとして、「シャフトの重心点」に着目しました。
弊社は、カーボンシャフト世に出て約50年以上前から「重心点」について試行錯誤を繰り返し。2023年やっと製品が完成しました。
今後は、シャフトの重心点とNewクラブバランスについての開発を加速、ゴルフは楽しい、易しい、健康に良いクラブセットを提案いたします。
従来のカウンターバランスの「ただ重くなる」という欠点を解消し、「総重量は従来のクラブと同じもしくは、番手毎に少しずつ重く手元になる、重量配分だけをグリップ寄りにしたクラブ」という発想は、ゴルファーが求める理想的な操作性を追求する上で非常に魅力的です。
このご提案について、理論上のメリットと、現実的な設計上の課題(なぜ市場の主流になっていないのか)の両面から解説します。
ご提案のクラブが持つ「理論上のメリット」
もし「総重量を変えずにカウンターバランス化」したクラブが実現できれば、以下のようなメリットが考えられます。
究極の操作性の実現:
総重量は変わらないため、体力的な負担なくスイングできます。その上で、バランスポイントが手元に来ることでヘッドが軽く感じられ、切り返しが非常にスムーズになります。まさに「臍を中心とした体の回転」にクラブの動きを同調させやすくなるでしょう。
「振りやすさ」と「手元の安定」の両立:
従来のカウンターバランスは、手元が安定する代わりに「重くて振りづらい」というデメリットがありました。この提案ではその重さのデメリットがなくなり、「振りやすいのに、手元が安定して手打ちを防げる」という、理想的な状態が生まれる可能性があります。
14本の流れが作りやすい:
全番手をこの設計思想で統一できれば、ドライバーからウェッジまで、非常に似た振り心地でスイングできるセッティングが完成するかもしれません。
なぜ、この「理想的なクラブ」が主流にならないのか?
ここからが本題です。この素晴らしいアイデアがなぜ実現されにくいのか。それには、ゴルフというスポーツの物理的な大原則が関わってきます。
結論から言うと、「ボールを効率よく飛ばすためには、ある程度の『ヘッド重量』が不可欠だから」です。
総重量を維持したままグリップ側を重くするということは、必然的に現状の計算では「ヘッドとシャフトを軽くする」必要があります。特にヘッドを軽くすると、以下のような物理的な課題が発生します。
エネルギー伝達効率の著しい低下(飛ばなくなる):
ゴルフは、クラブヘッドの質量(重さ)をボールにぶつけることで、エネルギーを伝達し、ボールを飛ばすスポーツです。ヘッドが軽すぎると、インパクトの衝撃でヘッドが当たり負けしてしまい、ボールに十分なエネルギーを伝えられません。結果としてボール初速が上がらず、飛距離が大幅に落ちてしまいます。
(例:軽いピンポン玉を投げるより、重い野球ボールを投げた方が、当たったモノは大きく動くのと同じ原理です)
G-1ゴルフシャフトの特長で重要なテーマは「現在主流となるヘッドの重量は原則変えない」ことです。
慣性モーメント(MOI)の低下(曲がりやすくなる):
ヘッドが重いほど、芯を外した際のヘッドのブレ(慣性モーメントが大きい)が少なくなります。ヘッドを軽くすると慣性モーメントが極端に小さくなり、少しでも芯を外すとヘッドが大きくブレて、飛距離ロスと方向性の悪化に直結します。つまり「ミスに極端に弱い、難しいクラブ」になってしまいます。
打感の悪化:
軽いヘッドでボールを打つと、ゴルファーが求める「ボールを潰す」「運ぶ」といった手応えが全く得られず、「スカスカした軽い打感」になってしまいます。
結論:
現在のクラブは「妥協の産物」
つまり、現在のゴルフクラブの設計は、
操作性(カウンターバランスの考え方に近い)
飛距離性能と安定性(ヘッド重量の考え方)
という、二律背反する要素のバランスを、極めて高い次元で両立させようとした「妥協の産物」なのです。
ご提案の「総重量を変えないカウンターバランス」は、「操作性」に大きく舵を切った非常に面白いコンセプトです。しかし、それを実現するには「飛距離」と「安定性」を大きく犠牲にする必要があるため、現状のクラブセッティングでのカウンタ-バランスのシャフトでは、残念ながら14本のクラブセッティングの主流とはなり得ないのが現状ですが、
とはいえ、この考え方は無駄ではなく、近年の「手元調子シャフト」や、グリップエンドに軽いウェイトを入れる調整機能などは、まさにこの「総重量への影響を最小限に抑えつつ、手元の安定感を増す」という思想に近いアプローチと言えるでしょう。
G-1ゴルフシャフトの特長で重要なテーマは、現在主流となるヘッドの重量は原則変えないで、「シャフト本体のみで80~90%グリップエンド近くまで重心点を調整」するシャフトとなります。現在、日本&米国に特許出願中。
近い将来に期待します。
プロが多用するカウンターバランスのパターは、多くのアマチュアゴルファーにとっても非常に有効な選択肢です。特に、パッティングに特定の悩みを抱えている方にとっては、大きな助けとなる可能性があります。
プロとアマチュア、双方にとってどのような効果があるのか、メリットとデメリットを交えて解説します。
カウンターバランスパターとは?
まず、カウンターバランスとは、パターのグリップ側(手元)に重量を加えて、クラブ全体のバランスポイントを通常より手元側に設定したものです。これにより、パターヘッドが相対的に軽く感じられるようになりますが、クラブ全体の総重量は重くなります。
アマチュアゴルファーにとってのメリット
プロがカウンターバランスを好む理由は、そのままアマチュアの悩み解決にも直結します。
手先の余計な動きを抑制し、ストロークが安定する
アマチュアのパッティングで最も多いミスの原因の一つが、手首をこねてしまうなどの「手先の動きすぎ」です。カウンターバランスにすると手元が安定するため、自然と腕や肩といった大きな筋肉を使った、再現性の高い振り子のようなストロークがしやすくなります。
ショートパットの緊張(イップス)に効果的
「短いパットに限ってパンチが入る、緩む」といった症状は、プレッシャーによる手先の過剰な反応が原因です。カウンターバランスは、こうした意図しない動きを物理的に抑制してくれるため、精神的な安心感にも繋がり、イップス気味の方には特に効果が期待できます。
テンポが安定し、再現性が高まる
クラブ全体の重量が重くなることで、ストロークの始動がゆっくりになり、急な動きが出にくくなります。これにより、毎回同じリズム、同じテンポでストロークしやすくなり、距離感のばらつきを抑えることができます。
デメリットと、合わない可能性のあるゴルファー
もちろん、万能というわけではなく、デメリットも存在します。
距離感の「フィーリング」が出しにくい
最大のデメリットはこれです。手先の感覚が鈍くなるため、繊細なタッチで距離感を合わせるタイプのゴルファーにとっては、「ヘッドの重さを感じにくい」「ボールとヘッドのコンタクトがぼやける」と感じることがあります。特にロングパットで距離感が合わなくなる可能性があります。
全体の重量が重い
総重量が重くなるため、単純に「重いパターは振りづらい」と感じる方には合いません。
【結論】
どんなアマチュアにおすすめか?
以下の項目に当てはまる方は、カウンターバランスのパターを試してみる価値が大いにあります。
ショートパットで引っかけやプッシュが多い方
インパクトで手首を使ってしまい、打点が安定しない方
パッティングのストローク軌道やテンポを安定させたい方
過去にアンカリング(中尺・長尺)パターを使っていて、その安定感が忘れられない方
一方で、パターはフィーリングを非常に重視するクラブです。最終的には、ご自身で実際に試打をして、振り心地やボールの転がりを確認することが最も重要です。
ゴルフショップなどで、ご自身のパターとカウンターバランスのパターを打ち比べてみると、その効果や違いが明確にわかるはずです。
カウンターバランスのパターで、重要なポイントについて、
結論から言うとできず、
カウンターバランスの重さを正しく「利用」するには、ただ重さに任せて「ダラダラ振る」だけになってしまうと、それは確実にミスパットの原因になります。
この「ダラダラ振る」という現象を分解して、なぜミスになるのか、そしてどうすれば防げるのかを解説します。
「ダラダラスイング」がミスの原因になる理由
「ダラダラ振る」というのは、言い換えると「インパクトが緩む」「ヘッドが仕事をしていない」状態です。
エネルギーがボールに伝わらない
パターが重いからといって、ただゆっくり動かすだけでは、インパクトの瞬間にボールをしっかりとヒットするためのエネルギーが不足します。結果として、思ったよりもボールが転がらず、ショートするミスが多発します。
方向性がぶれる
インパクトが緩むと、フェース面がボールの重さに負けてしまい、わずかに開いたり閉じたりします。ほんの少しのズレが、カップ際では大きなズレとなり、「入ると思ったのに抜けてしまった」というミスの原因になります。
距離感の再現性がなくなる
毎回同じように「緩んだインパクト」をすることは非常に困難です。少し緩みが大きければ大ショートし、少しだけしっかり当たれば思ったより転がる、というように、距離感のばらつきが大きくなってしまいます。
設計者の意図は「ゆったり」であって「ダラダラ」ではない
カウンターバランスの設計意図は、重さを利用して「ゆったりとした安定したテンポ」でストロークさせることです。手先でこねたり、パンチが入ったりする急激な動きを抑制し、肩や体幹を使った大きな筋肉で、振り子のようにストロークさせることを目的としています。
「ゆったり」としたスイング 悪い例:
「ダラダラ」なスイング
支点を中心に、重さを利用して振り子のように動く ヘッドの重さに振られてしまい、軌道が不安定
バックスイングからフォローまで、テンポが一定 テークバックは速いがインパクトで減速する
インパクトでヘッドが自然に加速し、ボールをしっかり捉える インパクトで緩んでしまい、ボールを押し出せない
再現性が高く、安定した転がりを生む 再現性が低く、ショートや方向性のミスが多い
「ダラダラ」
を防ぎ、重さを活かすためのコツ
カウンターバランスのパターを使う際は、以下の点を意識することが重要です。
「インパクトで緩めない」意識を持つ: バックスイングからフォローまで、常にヘッドが動き続けるイメージを持ちましょう。特にインパクトで終わりではなく、しっかりとボールをターゲット方向に送り出すようにフォローを出すことが大切です。
「振り子」を意識する:
自分の体の中心(みぞおちや首の付け根など)を支点にして、パターがその重さで自然に振られる感覚を掴みます。「自分で打ちにいく」のではなく、「重さでヘッドがボールを通過していく」イメージです。
グリッププレッシャーを一定に:
強く握りすぎると、重さのメリットを消してしまい、手で操作しようとしてしまいます。逆に緩すぎるとヘッドが動きすぎてしまいます。パターの重さを感じられる程度の、一定の力で握り続けることが理想です。
まとめ
カウンターバランスのパターは、その重さゆえに「ダラダラ振る」スイングに陥りやすいという側面を持っています。
しかし、それはクラブの特性を理解せず、ただ受動的に振ってしまっている場合に起こる現象です。クラブの重さを「ストロークを安定させるための味方」として能動的に利用し、インパクトで緩まない意識を持つことで、カウンターバランスは非常に強力な武器になります。
もし試打される機会があれば、「ただ振る」のではなく、「振り子のように、でもインパクトは緩めず」という点を意識して打ってみると、その真価がわかるはずです。
アイアンセットのカウンターバランスで重要な注意点として、「まず自分に合った振りやすい総重量を基本にし、カウンターバランスはその次の選択肢として考える」というアプローチは、特にアイアンやウェッジのクラブセッティングにおいて、極めて合理的で正攻法と言えるでしょう。
なぜその考え方が重要なのか、ご指摘のポイントを深掘りしながら解説します。
1. 「アドレス時の接点が不安定」という点について
アイアンやウェッジは、ウッド(特にティーアップ時)やパターと根本的に異なります。
ウッド/パター:
地面という安定した基準面に対して、ソールを滑らせるように動かすため、クラブの上下動(縦の動き)に対する許容範囲が比較的広いです。
アイアン/ウェッジ:
地面にあるボールに対して、上から打ち込んだり(ダウンブロー)、払い打ったり(レベルブロー)する必要があります。これは、非常にシビアな「縦の打点管理」が求められることを意味します。数ミリの打点のズレが、トップやダフリという大きなミスに直結します。
2. 「クラブの重さを中心に置く必要」
という点についてこのシビアな縦の打点管理を成功させるために不可欠なのが、「ヘッドの重さを感じながら、クラブの慣性を利用してスイングする」という感覚です。
スイング中、ヘッドの重さを感じられることで、クラブは自然なプレーン上を動きやすくなります。特にダウンスイングでは、重力に従ってヘッドが自然に落下する動きが、安定したインパクトの土台となります。
カウンターバランスがもたらすリスク
ここでカウンターバランスを導入すると、ヘッドが軽く感じられるようになります。これがアイアンやウェッジでは、以下のようなリスクを生む可能性があります。
手打ちの誘発:
ヘッドの重さを感じにくいため、無意識に手や腕の力でクラブを操作しやすくなります。これは、最も避けたい「手打ち」を助長し、打点のバラつきを大きくする原因となり得ます。
自然なタメの阻害:
ヘッドが自然に落下する感覚が薄れるため、ダウンブローに必要な「タメ」が作りにくくなったり、リリースが早まったりする可能性があります。
ラフやバンカーへの弱さ:
特にウェッジにおいて、ヘッドの重さを利用してラフの抵抗に打ち勝ったり、バンカーの砂を爆発させたりします。カウンターバランスでヘッドの効きが弱いと、当たり負けしてしまい、難しいライからの脱出がより困難になることがあります。
結論:
「総重量」こそがアイアンの土台
以上の理由から、あなたの「体力、運動機能等に合わせ、振りやすい重さを基本にする」という考え方は、アイアン選びのまさに王道です。
最優先:
振り切れる範囲で、できるだけ重い「総重量」自分にとっての適正な総重量のクラブは、スイング全体のリズムを安定させ、再現性を高める土台となります。軽すぎれば手打ちになり、重すぎれば振り遅れや体力消耗の原因になります。
第二段階:
スイングバランス(D2など)
総重量が決まった上で、ヘッドの効き具合(スイングバランス)を調整し、振り心地を最適化します。
補助的選択肢:
カウンターバランス、その上で、「どうしても手打ちが治らない」「少し重いシャフトを使いたいが、ヘッドが効きすぎると感じる」といった特定の目的がある場合に、最後の微調整としてカウンターバランスを検討する、という順番が理想的です。
まとめとして、
アイアンセットの場合、飛距離と方向性、安定性を要求されるので、基本的に、従来のスイングバランスを調整するだけの「カウンターバランス」は難しいので、あまりお勧めはいたしません。
本格的に、カウンターバランスをを重視したアイアンクラブセットについては、既成の出来上がったアイアンセットにカウンターバランスで調整するのは、かなり無理があります。
シャフト本体の「重心点と重さ」を確認しならセットを組まれるのを提案いたします。
ユーティリティ自体の「やさしさ」とカウンターバランスの相乗効果
ユーティリティの利点:
球が上がりやすい: アイアンよりも重心が低く深いため、ボールが上がりやすく、キャリーで飛距離を稼げます。
ミスに強い: ソール幅が広いため、多少ダフっても滑ってくれて大きなミスになりにくいです。
払い打ちでOK: アイアンのように打ち込む必要がなく、フェアウェイウッドのように横から払い打つイメージで打てるため、初心者にも扱いやすいです。
相乗効果: このユーティリティの「やさしさ」に、カウンターバランスによる「スイングの安定性」が加わることで、初心者にとっては「安定して、楽にボールを上げて飛ばせる」という、非常に心強いクラブになります。特に、苦手意識を持つ方が多いロングアイアンの代わりとして、大きな武器になるでしょう。
初心者が選ぶ際のポイント
ロフト角: まずは22度〜25度くらいのロフト角のユーティリティを1本持っておくと、170〜190ヤード前後の距離を楽に打てるようになり、コース攻略の幅が広がります。
シャフトの硬さ(フレックス): ご自身のヘッドスピードに合ったものを選びましょう。ゴルフショップで相談したり、試打をして確かめるのが一番です。
試打をしてみる: カウンターバランスは独特の振り心地があるため、人によってはヘッドの重さを感じにくく、違和感を覚える場合もあります。購入前には必ず試打をして、ご自身の感覚に合うかどうかを確認することをおすすめします。
まとめ
結論として、カウンターバランスのユーティリティは、スイングを安定させ、楽にボールを飛ばしたい初心者にとって、非常に有効な選択肢です。
但し、従来と同じ重さのシャフトに錘を付けた「カウンターバランス」では、全体重量が重くなりスイングに悪影響を与える可能性があるので、出来れば、シャフトの重量はそのままに近い重さのG-1ゴルフシャフトをご検討ください。
ロングアイアンに苦手意識がある方や、もっと楽にゴルフを楽しみたいと考えている方は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。